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40代の女性はなぜ肥満に?更年期に減少する女性ホルモン「エストロゲン」の秘密

若い頃は太らなかったのに、40代の更年期に差し掛かってから一気に太りやすくなった女性は多いのではないでしょうか。そこには食べすぎや運動不足だけではない、女性の体の仕組みが関係しています。このページでは、40代の女性が肥満になってしまう5つの原因と対処法、肥満外来での取り組みなどを説明します。
 

閉経後の摂食障害は7%増加。40代の女性を襲う肥満の現状

よく「40代になって太りやすくなった」と言いますが、それは本当なのでしょうか。まずは40代の女性の肥満に悩まされているデータを見ていきましょう。
 
中年に差し掛かると、女性の体重は1年あたり約700gずつ増えていくと言われています。より悪化するのは、閉経を迎えて更年期に差し掛かってから。なんと9割もの女性が、閉経後1年以内に2.5kg以上の体重の増加を経験しているのです。事実、当クリニックにいらっしゃる患者さまにも、更年期の肥満に悩まされている人は少なくありません。
 
また、摂食障害の国際ジャーナルの発表した、オーストラリアの40代〜60代の女性400名以上をターゲットにしたアンケートも興味深いです。その結果によると、閉経前の女性で摂食障害に悩まされている人はたったの2%にとどまっていましたが、閉経後の女性では9%。閉経を契機に、過食や拒食に走っている人の多さを物語っています。
 
このように、40代の更年期女性が太りやすくなっているのは、紛れもない事実です。その背景には、女性ホルモンの急激な変化をはじめとした、女性の体の仕組みが関わっています。
 

原因1:女性ホルモン「エストロゲン」の減少

では、なぜ40代の女性が太りやすくなってしまうのか。その大きな原因は、体が閉経へと向かう前後、卵巣の機能が低下することにあります。これにより女性ホルモン「エストロゲン」が減少し、エストロゲンが影響を与えていた身体機能に不調が起こります。これが、更年期障害です。
 
エストロゲンは妊娠や出産のために働き、脳や骨、血管、皮膚、粘膜、髪などを健康に保ったり、太ももやお尻を中心に脂肪をつけるように働きかけたりします。ですが、エストロゲンが減少して相対的に男性ホルモンが増加すると、脂肪のつく位置がお腹周りへと変わっていきます。若い頃のふっくらとしていた体型とは、まったく違う太り方をしてしまうのです。
 
また、エストロゲンの減少は内臓脂肪の増加も引き起こします。エストロゲンは内臓脂肪を蓄積するように促す酵素「アルデヒド脱水素酵素」の分泌を抑えてくれるのです。閉経前の女性は、体内に胎児の成長するスペースを確保する必要があるので、内臓脂肪が増えづらい仕組みになっているということでしょう。
 
それだけではありません。エストロゲンには食欲を抑制する「レプチン」という成分も含まれています。これが不足することで食欲のストッパーがなくなり、知らず知らずのうちに食べすぎや間食が増えてしまうのです。
 
エストロゲンの減少は、体だけでなく心にも影響を及ぼします。アメリカのロックフェラー大学の研究によれば、エストロゲンは脳内の幸福物質であるセロトニンの分泌を妨げ、過食症の遠因になるそうです。ほかにも似通った研究は存在し、「更年期は太りやすい」ということが迷信ではないことを立証しています。
 

原因2:ストレスホルモン「コルチゾール」の増加

また、更年期の女性は心身にさまざまな不調が発生し、ストレスが溜まりやすくなります。ちょうど人生のステージという意味でも、子供の高校・大学の学費が必要になったり、高齢になった両親のことを考えたりと、何かと頭を悩ませる時期でもあるでしょう。女性にとって40代は、これまで経験したことのない壁に直面する期間です。
 
こうしてストレスが蓄積されると、ストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されます。これにより甘いものを無性に食べたくなったり、ストレス解消のためについ過食に走ってしまったりします。事実、コルチゾール値の高い人ほど肥満の傾向が強いという、ロンドン大学の発表したデータもあります。
 
いちどストレスのスパイラルに入ってしまうと、そこから逃れるために無理なダイエットに走ってはリバウンドを繰り返し、痩せられない自分を責めてさらに過食を加速させるなど、状況は悪化の一途を辿ります。肥満を解消したいなら、脳を喜ばせることを意識して日々を過ごさないといけません。
 

原因3:睡眠不足による「グレリン」の増加

更年期障害の代表的な症状の一つに、ホットフラッシュが存在します。ほてりのせいでうまく寝付けず、寝不足に悩まされているケースは非常に多いです。そして、あまり知られていませんが、睡眠不足は肥満に大きく影響します。
 
睡眠不足に陥ると、食欲を増進する「グレリン」というホルモンが増加。逆に食欲抑制ホルモンのレプチンは減少し、「もっと食べたい」というシグナルが脳から発信されます。そればかりか、炭水化物や脂質の多い食事を選びやすくなります。ヘルシーな野菜よりも、こってりとした食事に魅力を感じてしまうのです。
 
それだけでなく、睡眠の乱れとともに新陳代謝のサイクルが狂うと、体重調整を担うホルモンの量も変化します。これにより、せっかくダイエットに取り組んでも効果を得づらくなるのです。また、そもそも体に疲れが残ると、食事の選び方も甘いものや高カロリーのものに偏ってしまいます。
 

原因4:加齢による基礎代謝の低下

中年太りの大きな原因は、加齢に伴う筋肉量の低下です。特に問題なのが、筋肉の約70%を占めると言われる骨格筋の著しい減少。血中の糖質の約70%は骨格筋に取り込まれます。これが少なくなると糖質は行き場をなくし、余った分が脂肪へと変換されてしまいます。
 
20歳前後だと体重の約40%は筋肉ですが、30歳を超えると急速に落ちていき、10年で約10%ずつ減っていきます。つまり、20代を100%として仮定すると、40代は80%に落ちる計算です。この背景には、運動不足だけでなく体のバイオリズムの変化も関係していると言われています。
 
筋肉の量が少なくなると、体内の基礎代謝も低下します。基礎代謝とは、簡単に言うと生命維持のために消費されるエネルギーのこと。代表的なのは、呼吸や内臓の活動、体温の維持などですね。脳や肝臓での消費量が多いなか、最もエネルギーを必要するのが筋肉です。
 
その他、骨や皮膚の新陳代謝も鈍り、基礎代謝は総合的に落ちていきます。ピークは15〜17歳で、40代男性の消費量は1500カロリーほど。ここで余ったカロリーは脂肪へと変換され、肥満の原因になるのです。
 

原因5:運動不足による基礎代謝ダウン

この基礎代謝ダウンをさらに悪化させるのが、運動不足です。運動不足は全年齢が抱える課題ですが、やはり40代は男女ともに深刻。これにより筋肉量が落ちてしまえば、基礎代謝の低下はどんどん進行し、エネルギー消費をできなくなった体は脂肪を溜め込む一方になります。
 
更年期障害の症状に悩まされる40代の女性にとって、体を定期的に動かすことは意識しないと難しいこと。特に専業主婦の方は、育児や家事をこなすので精一杯で、家から出るのが億劫になってしまうこともあるかもしれません。無理をしない範囲で歩く距離を伸ばすなど、少しずつ運動の習慣を作っていきましょう。
 
とはいえ、運動不足から脱却しただけで、ダイエットが上手くいくとは限りません。運動によるカロリーの消費量は多くないですし、3年間運動を続けた肥満者のうち、標準体型に戻ったのは4分の1程度というデータもあります。運動だけだと痩せられないことは、運動のモチベーションが上がらない一つの遠因かもしれません。
 
一方で、運動しないとさらに太りやすくなるのもまた事実。カロリーの消費量に関しても、1日ではなく1ヶ月という長いスパンで合計すれば、決して無視できない消費量になるとわかるでしょう。運動不足を放置せず、できる範囲でスタートすることは40代の女性にとって大切です。
 

40代の女性に多い隠れ肥満。「サルコペニア肥満」にご注意を

また、40代の女性は、見た目にはわからない「隠れ肥満」の割合も増えていきます。その正体は「サルコペニア肥満」と呼ばれるタイプの肥満です。これは、肥満とサルコペニアを同時に発症した状態のことです。
 
「サルコペニアって何?」と思われた人も多いでしょう。サルコペニアとは、加齢とともに筋肉量が急激に減少する症状です。腕や脚の筋肉量が減ることで、握力や歩行速度といった些細な動作にさえ問題が起こります。サルコペニアは40代にかけて発症率がグンと上がり、男性よりも筋肉量の少ない女性に見られやすいため、特に40代の女性は気をつけないといけません。
 
サルコペニアに肥満を併発すると、脂肪は増えているのに筋肉は減っている、プラスマイナスゼロの状態になります。外見はもちろんのこと、体重やBMIにも変化が見られないため、自覚症状を持てません。つまり、隠れ肥満です。
 
これは非常に厄介な状態で、外見から気づきにくいということは、肥満の発見が遅れがちになることを意味しています。水面下で生活習慣病などが進行しやすいのです。中でも気をつけたいのは糖尿病で、筋肉量の激減は基礎代謝の低下を引き起こすため、本来なら消費されるはずの糖質が余ってしまいます。筋肉が衰えた状態で糖尿病を患えば、寝たきりになるリスクも高いです。
 

40代の女性の肥満の対処法

では、40代の更年期女性の肥満を改善するには、どんなアプローチが必要なのでしょうか。体調不良やストレスを抱えやすい期間なので、大切なのは自分の心身と相談しながら無理なくダイエットを行うこと。ここでは、40代の女性に有効なダイエットの方法を紹介します。
 
まずは食事面ですが、極端なカロリー制限は控えましょう。主食だけでなく主菜と副菜を毎食ごとにしっかりと摂取し、腹八分目を心がけながら、よく噛んで食べてください。40代の女性は食欲が増進しやすいので、空腹感を和らげる食物繊維を摂取するのもおすすめです。体調不良で外に出られない日は、間食に甘いものを食べるのではなく、果物に置き換えてカバー。朝ごはんをしっかり食べることで、食欲が安定し、昼や夜の暴食を防止できます。
 
また、先ほども申し上げた通り、更年期の女性は睡眠不足に陥りがち。良質な睡眠を取るために、枕や照明などに気を配ると良いでしょう。体内時計をしっかりと機能させるために、早寝早起きも心がけてください。ぬるめのお風呂に入って体温を上げたり、軽めのストレッチで筋肉を緩めたり、就寝前にはスマホの光を目にしないように注意します。睡眠中は肌の補修なども行われるため、美肌やアンチエイジングにも有効です。
 
40代に差し掛かると基礎代謝が低下するため、筋肉を維持できるような適度な運動も行います。特に大きな筋肉のある下半身を中心に鍛えましょう。とはいえ、いきなりハードなトレーニングに取り組むのは挫折の始まり。まずは無理のないウォーキングなどの軽い有酸素運動からスタートしてください。いちどの歩行で消費できるカロリーは限られていますが、コツコツ継続することで1ヶ月あたりの消費量は増えていきます。
 

肥満外来で大切にしている「無理をしないこと」

さて、ここまで40代の女性の肥満を解消する方法をお話ししてきましたが、何より大切なのは「無理をしないこと」です。更年期障害が重なったり、人生の節目が訪れたりする40代の女性にとって、心身の苦痛を減らすことは何よりも重要。短期の結果を求めず、ストレスフリーで継続することを優先しましょう。
 
たとえば、闇雲に食事を制限しようとするのではなく、しっかりと好きなものを食べるのも大事です。「旅行の日は好きなだけ食べる」と決めるなど、オンオフのメリハリをつけて適度に自分を喜ばせてください。それで結果に繋がるのか不安になるかもしれませんが、多く食べた分を数日間かけて調整すれば、体重はすぐに戻せます。こうして「ちゃんと痩せた」という体験を積み重ねていき、自分の体のバイオリズムを理解していきます。
 
人によっては、悩みを吐露できる相手の存在も重要です。ストレスは重ければ重いほど簡単には解消できず、他人の力が必要になります。ダイエットの悩みはデリケートで口にしづらい人もいるので、肥満外来の先生から相談に乗ってもらうのも手です。私たちは専属のカウンセラーを用意しており、ダイエットとは関係ない日常の会話も大切にしています。
 
とはいえ、痩せるかわからない中で「ストレスフリーな取り組み」を自分一人で続けるのは、つい不安になることもあるはず。そんなときは、無理なく痩せるノウハウに精通した、私たち専門家にご相談ください。あなたに合った方法で、楽しく痩せていく道筋を考えさせていただきます。



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