メディケアコラム

【管理栄養士監修】ダイエットに重要な「たんぱく質」の効果と含まれる食べ物。摂取量の目安も解説

ダイエット中の食事において、たんぱく質が大切なのは定説になってきましたね。最近では、たんぱく質中心の食事を摂る「高たんぱく質ダイエット」なども注目を集めています。
 
しかし、正しい知識を持たずにたんぱく質を摂り過ぎると、危険を招くケースもあります。今回は、当院の管理栄養士監修のもと、たんぱく質の効果、メリットとデメリット、正しい摂取方法などを解説します。
 

1. 基礎代謝を高めて脂肪燃焼。たんぱく質のダイエット効果

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まずはたんぱく質のダイエット効果をおさらいしましょう。最も代表的な効果は、基礎代謝の向上です。
 
基礎代謝とは、呼吸や体温調節、内臓の活動といった生命維持に使われるエネルギー。1日の消費カロリーの6〜7割を占めており、基礎代謝の向上は、すなわち太りづらい体作りに繋がります。そして、基礎代謝を左右するのが筋肉量です。当然ながら筋肉が多いほど、運動に使われるカロリーも増えていきます。
 
この筋肉を作るのがたんぱく質。筋トレをする人には常識ですが、プロテインもたんぱく質でできていますよね。たんぱく質を摂取してから運動すると、傷ついた筋組織がたんぱく質を吸収し、筋肉量を増やすのです。こうした一連の働きを「同化作用(アナボリック)」と呼びます。
 
同化作用は、たんぱく質が不足すると起こりづらくなります。そればかりか、筋肉の維持すら困難になり、基礎代謝も落ちていきます。たんぱく質を摂取することは、効果的にダイエットする上でとても大切なファクターなのです。
 

1-1. たんぱく質を食べても太らないの?

ちなみに、皆さんの中には「たんぱく質は太る」というイメージを持っている人もいるでしょう。実際には、たんぱく質そのものは太りやすくありません。あくまでも「肉類などの高たんぱく質の食材に、脂質が多く含まれている」だけです。そのため、大豆などの植物性たんぱく質とバランスよく摂取するなら問題はないでしょう。
 
肉類であっても脂肪部分を取り除いたり、調理時の油の量を抑えたりすることで、低カロリーで摂取できます。ただし、実は脂質にも細胞を維持したり、エネルギー源になったり、脂溶性ビタミンの吸収を良くしたりと、健康に必要な働きがあります。ある程度の量はしっかりと摂取してください。
 

1-2. 体に必須のたんぱく質。不足すると美容・健康トラブルも

ダイエット効果以外にも、たんぱく質による恩恵はさまざまです。そもそもたんぱく質は、体を作る材料となる栄養素。体の60%は水分と言われていますが、二番目に多いのが20%を占めるたんぱく質なのです。
 
筋肉だけでなく骨、皮膚、臓器、爪、髪など、体を形作る多くのものはたんぱく質からできています。そのため、たんぱく質が不足すると内臓機能が低下するほか、肌荒れ、髪の傷みといった美容トラブルに見舞われることも。美しくなるためにダイエットしている女性にとっては、これでは本末転倒です。
 
また、たんぱく質は心をリラックスさせるセロトニン、やる気を高めるドーパミンなど、神経伝達物質の働きにも関わります。そのため、たんぱく質不足は集中力・思考力を鈍らせたり、ダイエットに対するモチベーションダウン、ストレス増加にも繋がったりするのです。さらには免疫機能やホルモンバランスも乱れてしまい、病気にかかりやすくなる危険性もあります。
 

2. たんぱく質を多く含む食べ物は?

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さて、そんな必須栄養素のたんぱく質ですが、どんな食べ物から摂取できるのでしょうか。多く含まれているのは、主に肉類、魚介類、卵類、大豆類、乳製品です。
 
肉類:生ハム、鶏ささみ、ローストビーフ、牛もも肉、豚ロース、鶏砂肝 など
魚介類:イワシ、いくら、焼きたらこ、するめ、かにかまぼこ など
卵類:卵黄、卵白、ピータン、ゆで卵、生卵、ポーチドエッグ など
大豆類:きな粉、油揚げ、納豆、がんもどき、厚揚げ、こしあん、豆腐、豆乳 など
乳製品:パルメザンチーズ、カマンベールチーズ、クリームチーズ、植物性生クリーム、ヨーグルト など
 
肉類は、たんぱく質の多く含まれる代表的な食べ物です。ただし、脂質は多いため、カロリー過多にならないように気をつけましょう。肉類は基本的に、低カロリー順に鶏肉、豚肉、牛肉となりますが、部位や調理法ごとに異なることも覚えておくと便利です。
 
部位別のカロリー:ヒレ肉、もも肉、ロース、サーロイン、ばら(低カロリー順)
調理法別のカロリー:茹でる、蒸す、焼く、煮る、揚げる(低カロリー順)
 
健康面でのメリットが大きいのは魚介類。なかでも推奨したいのは、オメガ3の不飽和脂肪酸を多く含む魚です。魚の脂に含まれるオメガ3は、血管壁に付着した悪玉コレステロールを除去したり、逆に善玉コレステロールを増やして中性脂肪を減らしたりと、さまざまな効果を期待できます。コレステロール値を抑えることは、動脈硬化や心臓疾患などの防止にも役立ちます。
 

3. たんぱく質を摂取する方法

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では、どうしたらたんぱく質を効果的に摂取できるのでしょうか。ポイントは、肉類などに含まれる「動物性たんぱく質」と、大豆などに含まれる「植物性たんぱく質」をバランスよく摂ること。理想的な割合は1:1です。
 
たんぱく質の摂取量の目安は、体重1kgあたり1gと言われています。そのため、体重50kgの人ならそれぞれ25g、体重60kgの人ならそれぞれ30gを摂取できるとベストです。ただし、運動をしている人は1.2〜2倍の量が必要になります。多くの場合、食品100gあたりのたんぱく質量はラベルなどに記載されているのでご確認を。
 
また、低カロリーゆえに植物性たんぱく質ばかりを摂取する人も見かけます。しかし、植物性たんぱく質に含まれるアミノ酸は私たちの体と組成が異なるため、実はそれほど筋肉になりません。あくまでも動物性たんぱく質と満遍なく摂取しましょう。
 

4. たんぱく質を摂取するときの注意点

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ちなみに、たんぱく質の摂取には注意するべきポイントもあります。
 

4-1. 動物性たんぱく質の摂りすぎは“がんリスク”の増加も

特に注意してほしいのが動物性たんぱく質の過剰摂取。体内で吸収しきれなかったたんぱく質は、腸内で悪玉菌のエサになり、窒素残留物というアンモニア物質を生み出します。すると、腸内環境が乱れて便秘になったり、ガスや便が臭くなったりするのです。より悪化した場合、尿路結石や動脈硬化のほか、発がん性物質が作られて大腸がんのリスクも高まってしまいます。
 

4-2. 高たんぱく質ダイエットに潜む危険性

こうしたリスクは、たんぱく質のモリモリ摂取する「高たんぱく質ダイエット」にも言えることです。たんぱく質の過剰摂取を長期間続けていると、心臓疾患や動脈硬化のリスクは高まってしまいます。
 
ダイエットは健康な体の延長線上にあるもの。偏った栄養素の過剰摂取や、無理な食事制限に頼るのではなく、正しい食生活を送ることで、体を正常なサイクルを取り戻していきます。そのための一助という位置付けで、たんぱく質の摂取を心がけてみてください。

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